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【書評】11月に読んだ書籍紹介(2008年)


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2008年11月に読んだ本をピックアップ。今回の紹介は思ったほど多くなかった。もう少し読んでいるような気がするのだがなんでだろう。確かに紹介できない本もあるのは事実ですが。たぶん部屋が汚いので、新しく買った本がどこかに紛れ込んで探せなくなってるのでしょう。良くあることです。

あとは、文芸春秋、ダイヤモンドや東洋経済などの雑誌の割合が多かったからかもしれません。それはそうともっと価値ある本も読んだ方がよいと思うけど読めないんだなこれが。あと微妙な本も載せないことにしました。やっぱり変な本の書評は書く方も読む方も辛いから。






私の第七艦隊 -日高 義樹 - 80点

私の第七艦隊私の第七艦隊
日高 義樹

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自他ともに認める米国ウオッチャーの日高氏の自伝的本。私は余り著者名では本を買わないので、どちらかというと署名で購入。何せ「私の第七艦隊」ですよ。何を持って米国最強の艦隊を私のなどと言えるのか。コピーライターにやられました。(英語題名はもっとまろやかで、[My journey with the U.S. 7th Fleet]ですあしからず)。 それとこの本は自伝部分もあることから何か、著者の信念というか遺書的に書かれているような気がする。

第1章 アメリカのアジア太平洋戦略が変わる
第2章 ミサイル潜水艦が北京を狙う
第3章 すべては佐世保から始まった
第4章 アメリカ第七艦隊とベトナム、そしてワシントンへ
第5章 中国は自滅する
第6章 日米軍事同盟はどうなる

NHKを退社後放映している、日高のワシントンリポートはたまに見るのですが、いつも思っていたことは何故この人は米国の高官や高級軍人にこれほどアクセスできるのかということ。その一端がこの本に書かれており、確かに納得できる。著者は運が良かっただけというが、明らかに運だけではここまでできないと思うしこの本を読むとそれがよく解る。ワシントン赴任後すぐにはもらえないホワイトハウスの入館証を、国防省経由で速攻でもらい、所長が目を丸くした下りなど面白く読んだが誰にもできることじゃない。

この本の、特に5,6章の今後の中国、米国との関係については、著者の米国買いかぶりが顕著ながちょっと気になる。この本自体は8月に上奏されたようなので、リーマンショック前だとしてもちょっと露骨だ。これは産経の古森氏などもそうだけど、米国べったり記者にありがちな雰囲気だから割り引いて見れば良いだけの話なのですが(古森氏と著者を比べるのは少しおこがましいかな)。

それにしても、日本の政治は今後の外交方針をどうしようと思ってるのだろうか。全く見えない。官僚は、外務省も防衛省もその他省庁も、自分達は国益だと勝手に信じているただの自己保身論理だけで動いている。
中国との関係、米国との関係、ロシアとの関係、それと韓国・北朝鮮の処遇。この複雑な連立方程式を解いていかなければいけないのに何をやってるんだか。まあ、自分でも少しは考えるがすぐに論理破綻するか思考がループするだけから大したことは言えないのだが。




大前研一サラリーマン再起動マニュアル 80点


サラリーマン「再起動」マニュアルサラリーマン「再起動」マニュアル
大前 研一

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この人のいつもの本です。だいたい結論が同じなので最近は買わなくてもいいと思うようになってるのですが、本屋に並んでいるとついつい買ってしまうのが自分の弱さです。


イントロダクション]志のあるサラリーマンは、きつい仕事を厭わない
フェーズ1 第1章[現状認識] なぜ今「再起動」が必要か?
フェーズ2 第2章[基礎編] 「再起動」のための準備運動
フェーズ3 第3章[実践編] 「中年総合力」を身につける
フェーズ4 第4章[事業分析編] ”新大陸エクセレントカンパニー”の条件
フェーズ5 第5章[メディア編] 「ウェブ2・0」時代のシー・チェンジ
[エピローグ] 新大陸の”メシの種”はここにある

基本的に、日本の大企業にいる30から40代のホワイトカラー向けにかかれているので、私のようなIT系で外国企業ともいろいろやっている人間であればこの本の半分くらいは既に知っている内容のオンパレード。逆に言えば日本の大企業の視野の狭さが垣間見える。確かに大学の研究室の先輩や同級生で大企業に就職した人とたまに会うと、その視野の狭さにはかなり辟易してきます。

それはそうと、大前氏のような英語もできて英米企業しか見ていない人は、日本も英国やシンガポールのような金融立国を目指せと言う人が多いが、はっきり言って英米の後追い金融立国は日本に会わないと思っている。
やはり製造業と異なり、金融をやるには言語の壁は非常に重要だと思うのだが、彼らは英語がなまじ出来るので壁の大きさが理解できないのだろう。
リーマンショックは英米金融が完璧でないことの査証なので、大前氏も英米金融を見習えみたいな論調は最近少なくなってきたけど、否定しているわけではないですしね。

日本は日本なりの方法で今後の経済発展を進めていかないといけないと思うが、何かは私もよくわからない。少なくとも英米のような新自由主義的な金融至上主義でないことは確かだと思っている。



大暴落 1929 70点


大暴落1929 (日経BPクラシックス)大暴落1929 (日経BPクラシックス)
村井 章子

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大恐慌関連の本が読みたいなと思っていたら本屋に置いてあった。書版が1955年の長寿本の新翻訳。何か当時の考察がかかれているというよりは歴史書に分類されるべきものと考えている。
大恐慌にいたるまでの仮定、大恐慌発生時では一日単位の株価とそのときの主要人物の動き、崩壊後数年間の状況までを編年体形式で叙述しているところが良い。浅薄な書籍であれば、陳腐な考察や解説が書かれるが、この本の場合はそういったものが無いわけではないが、どちらかというと患者の経過観察をしているといった雰囲気が出ている。

もちろん当時と現在起こっていることが同じではないけど、この本から何か読み取れるか読み取れないかは読んだ人次第ということです。

1997年まえがき
第一章 夢見る投資家
第二章 当局の立場
第三章 ゴールドマン・サックス登場
第四章 夢の終わり
第五章 大暴落
第六章 事態の悪化
第七章 暴落の日々1
第八章 暴落の日々2
第九章 原因と結果



はい、こちら国立天文台 75点

はい、こちら国立天文台―星空の電話相談室 (新潮文庫)はい、こちら国立天文台―星空の電話相談室 (新潮文庫)
長沢 工

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  • 天文台の電話番
  • 日の出、日の入り
  • 夕暮れの木星、金星の接近
  • 国立天文台と広報普及室
  • 2000年、うるう年と21世紀
  • 七夕祭り
  • 電話当番の学生
  • 春分の日
  • ある日の広報普及室
  • 参考文献類
  • マスコミの電話取材
  • 午前12時? 午後12時?
  • サーターアンダギー
  • 失敗
  • 広報普及室のこれまで
  • 電話の大混雑
  • 月に関してのいろいろ
  • 旧暦と年号
  • 答えたくない質問
  • 天文学者になりたい
  • 苦労する質問
  • 困った人々
  • 天体の名前
  • スリランカからの手紙
  • 理科教育と天文学
  • あとがき
  • 解説 松本零士

少し古い本ですが、本屋で目についたので買ってしまいました。まず、天文台に問い合わせてもいいんだということと、日の出日の入り時刻の問い合わせが多すぎるなと。あと学校の宿題を聞くのに天文台に問い合わせる親が多いんだと。あとマスコミの無礼さが嫌と言うほど書かれてます。


あと夏時間はやっぱり止めた方が良いと思う。



子供は理系にせよ! 60点

子供は理系にせよ! (生活人新書)子供は理系にせよ! (生活人新書)
大槻 義彦

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火の玉研究の大槻教授の本ですな。初っ端から、かなり飛ばしています
なお、はじめにお断りしておかなければならないことがある。それは、本書は文系をこき下ろし、徹底的に理系礼賛、科学至上主義で貫かれている、ということである。

なかなかここまで断言できるものではないです。自分は一応理系なので大丈夫と思い、でも少し気をつけて読みましたが、結構癪に触る発言が多い。その癪に触る発言自体も、あとがきを読むと一応意図して書いた模様ですが、余り良い方針とは思えない。少なくとも私は納得できない。

基本的に、文系の親が子供を育てるときに理系に育てたいけど、どうすれば良いかわからないという著者の回答がこの本だと思っている。私も以前同様なことを文系出身の人から言われて、家庭教師になってくれとか言われたこともあり少し悩んだ。そのときは正直3歳に教える理系教育などあるのかどうか疑問だし、10年後に家庭教師が必要になったときには私の知識は枯渇してそうだが、「中学受験するころになったらまた連絡してください」と一応いっておきましたが・・・本当に来たらどうしよう。

この本には、学生が理系に行くと決めた理由のアンケート結果がある。結構何かしらの決定理由がある人が多くてビックリだ。
自分はどうして理系になったんだろうか? 両親とも学歴などない環境だから理系も文系もない。中学入るころには既に理系と思ってたから小学校の時に理系に決めたと言っても良い。だけど、理系に行くと決める具体的な何かはなかったような気がする。
しいて思い出したことといえば、小学1年から親が学研の学習と科学を購入してくれていたのだが、ある日お金がないから1冊にしてくれと言われ、かなり悩んだ末に「科学」を選んだことだろうか。当時はどちらも面白くよんでいたから。でもそれが理由にはならない。本当になんで理系に進んだのだろう? そういうことを少し考えさせられた本ではある。

それはそうと、この本で少し共感がもてるのは、学校の理科室の開放について。これはAgreeです。理科室は宝の山だと思うけど、授業以外では全く活用されていない。もっと活用されるべきですが、今の教育学部しか出てない先生では活用できないだろうな。そのための教員制度の改革についても述べていることが良いです。理系の大学入ってある程度勉強とか研究すると、何となく理科の先生もいいなと思うのだけど、実際に教員になれない現在の仕組みは確かにおかしい。
理科教育を増やすとか言ってるけど、教育学部しか出てない教師じゃ質が固定される。

第一章 理系のどこがそんなにいいのか
第二章 理系とは何か
第三章 極上の理系生活
第四章 学生達が語る理系を選んだ理由
第五章 データが語る理系を選んだ理由
第六章 さあ、理系を育てよう




ドル崩壊 75点


ドル崩壊!ドル崩壊!
渡邉 哲也

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韓国経済の話を色々調べて検索していると三橋さんのBlogにたどり着き、そのまま過去ログを読んでるうちにちょっと著書を買って読んでみたくなったので購入してしまった(本屋で)

基本的には、今回のサブプライムローンの破綻についての基礎資料をまとめて公開しているといった感が強いです。自分の知っている内容も多いのは事実ですが、知らない情報も多く、数値や資料をちゃんと当たって書いているので安心して読めました。

まあ、それ以前にBlog見ると2chネラーで東亜板の住人というだけで・・・。まあいいですけど。ただアホなネトウヨ思想と異なり内容はまともなので全然良いです。

第一章 デリバティブ六京円
第二章 サブプライムローン問題の本質
第三章 巧妙な錬金術のなれの果て
第四章 苦悩するFRB
第五章 ドル崩壊への道
最終章 最後に残るのはどこなのか



日本語が亡びるとき 85点


日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で
水村 美苗

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ネットで話題になりつつあるときは、タイトルだけ見て買うまではないと判断しました。理由はこの手のことを書くのは老人と相場が決まっており、たいていは今の日本語はなっとらん、昔に戻れという話に終始するのが落ちだ(実際そうだったけど)。

そんな折、dankogai氏がかなり熱すぎるエントリーを書いたので、これはちょっとおかしいなと思い買ったわけです(本屋で)。dankogai氏の書評には何度もだまされていますが、だまされても糞本は今のところないのである程度の信頼は置いてます、一応。

一章 アイオワの青い空の下で<自分たちの言葉>で書く人々
二章 パリでの話
三章 地球のあちこちで<外の言葉>で書いていた人々
四章 日本語という<国語>の誕生
五章 日本近代文学の奇跡
六章 インターネット時代の英語と<国語>
七章 英語教育と日本語教育

結論からいうと、dankogai氏のエントリーのタイトル「今世紀最重要の一冊」などというあおりはやり過ぎだ。エントリーのように熱くなれる本でもないし、たいそうな内容ではない。ただし、読む価値はあると思う。読む必要があるのは、3,4,5章それ以外はどうでも良いというか、いらない。特に6,7章の著者の提言は、明治時代の文豪の思いのみが強すぎて、それしか見てないという非常に視野の狭い論調だ。

ちなみに私の場合、高校の時には図書館でブルーバックスばかり読んでましたが、金田一春彦とか大野晋などの著書はたまに読んでいたので、何も日本語論を知らない理系の人よりは多少の基礎知識はあると思っている。 3,4,5章にある内容は、ベネディクト・アンダーソンの受け売りだが、別に著者が隠しているわけではないからそれ自体は全く問題ないです。それに著者が何点か補足を付け加えているため理解しやすくなっている。そして私のような知識レベルではこれが一番この本で良かった部分だ。3,4,5章に書いてあるような、明治以来の日本語の危機については、志賀直哉も敗戦後のアルファベット化論についても知っていたが、このようにまとめて読んだ事はないため、自分が一番勉強になったことといってもよい。普遍語、国語、現地語の区別と意味は非常に参考になった。

それに引き替え、後半は著者の日本語教育への嘆きですが、これが結構酷い。日本語教育は日本の近代文学を原文で歴史的仮名遣いで読ませるべきだというのが著者の結論。

確かに、私は戦後教育世代だから、たまに昔の資料をあさる必要があるとき、それが戦前の資料の場合は文章を読むのが非常にしんどい。そういう時は学校でなぜ戦前の文章を読ませてくれなかったのかと思うときがある。そのため、学校教育で戦前の歴史的仮名遣いの文章をただ読ませるということがあってもいいと思うし、古典はもっと増やす方がいいと思っているし、新字体を廃しして旧字体(繁体字)に戻したほうが良いのではとも思っていたりするわけです。

そういう点で著者の結論だけみると私と似て無くはない。そうはいっても、著者は近代文学を読ませるという思想に偏り過ぎている。それ以前に文学以外の学問に余りに無理解である。漱石と寺田寅彦の話が出てきますが、この部分の著者のコメントを読んでいると著者の自然科学の知識レベルが低すぎて悲しくなる。

まあそれらは全体からみれば些細なことです。他にもこの本については色々言いたいことはあって、最初はこの本だけで2-3エントリー書こうと思ったくらいですが、この辺で終わりにしたいと思います。少なくとも自分として日本語について久しぶりに考えさせられた本であることは事実です。特に3,4,5章は著者の思想でも発見でもないけど紹介してくれて読んで良かったとは思うし、分かり易く書いてくれたとは思う。ただ、それ以外は微妙だし6,7章は独善過ぎて、かつ現状の認識が足らないので読む価値はほとんどないでしょう。




カテゴリ【知ったか書籍紹介】



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