HDDとNANDの攻防戦 (日本HDD協会のセミナーに関する記事を受けて)
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最近、HDDやNAND関連のエントリーを書いてなかったのですが、PCwatchの日本HDD協会のセミナーに関する記事 「日本HDD協会2008年4月セミナーレポート ~ HDD対SSD、その行方を議論 」 がなかなか良かったので、久しぶりに書きます。
さすが中の人の発表ですね。概略的な記事のないようにも関わらず、門外漢の私の記事など比べるべくもない内容です。
東芝セミコンダクタ社の発表 (NANDチップ製造会社として):
・SSDは2010年までは年率2倍の容量増加速度は継続
・NAND MLCの信頼性は、書換手法の工夫により5年間は確保。だだし一般的PC利用。
日立GSTの発表 (HDD製造会社として)
・人間が必要とするデータはどんどん増えてます。だから大容量HDDは必要です。
・いろんな技術がまだあるのでHDDは死にません。
・年率40-50%で容量アップ。 2年で2倍くらいでしょうか。
SETCの講演(NANDストレージベンダとして)
・SSDは民生用より、産業機器での利用を主眼。
・エンタープライズ用SSDは、信頼性、ランダムアクセス性能を確保。
・価格もSSDの低価格化がすすんで買いやすくなっている。
NECパーソナルプロダクツの講演 (PCベンダとして)
・家庭用PCは、容量増加が拡大してるが、ビジネスPCは容量増加が余りない。
・モバイル用途は、まだまだ耐衝撃性の強化が重要
・ハイブリッドHDDが普及しなかったのは、性能向上が10%程度と少なかったから。
【企業用ビジネスPCについて】
NECパーソナルプロダクツの発表はなかなか興味深い。ビジネス向けPCでは、メールやWebや社内資料のWordやExellやPPTファイルくらいしかありません。私が仕事で利用している会社のPCも先ほど調べたところ、My Documentの下は15GB程。HDDは80GBで、空き容量は40GBとまだまだ余裕で3-4年は大丈夫でしょう。一番大きなファイルも20MBのPPTファイルで、それ以上のはzipファイルしかありません。
このノートPCは3ヶ月前にやっと変わったばかりなので80GBありますが、以前の支給ノートPCも2004年から4年ほど使いました。こちらの容量は40GBで容量半分ですが10GBくらいは余らせておりHDD容量はまだ大丈夫でした。
さらにその前は2000年から4年間 20GB HDD搭載のノートPCを使ってましたが、HDD容量を気にしたことは記憶はありませんでした。
つまり個人的な経験では、ビジネスPCはHDD容量は4年で2倍にしかなってないということです。現在ビジネス向けPCで一番売れすじHDDがノート、デスクトップ問わず80GBだということからも私の利用法が世間一般と大きくかけ離れてるとも思えません。
そうであれば、4年後の2012年にはビジネス用途で160GBの容量があれば必要十分ということです。
結局会社のPC利用では紙の代替機能しか求められてないということですね。つまりWordもEメールもPPT資料も、藁半紙や郵便やOHPで行ってたことをデジタル化しただけです。
それ以上のことはサーバ側でやるので、PCではこれ以上の容量アップに貢献することはないのでしょう。動画を始めると容量増加は大きくなりますが、社内利用ではせいぜい社長の演説とかトレーニング用ビデオばかりでHD画質がいるわけでもないので、Youtubeやニコニコクラスの画質でもお釣がくる。よってクライアントPC側の容量アップには貢献は大きくなさそうです。
160GBの容量は、2.5インチディスクでは既に普通の容量です。あとはコストですがHDDは部品代の最低コストがSSDに比べ高いのでSSDがHDDの最低コスト以下になったらビジネス用途PCではデスクトップもノート型も完全にSSDに移行してしまいますね。(最低スペックの80GB新品3.5inch HDDが5000円くらいかな? 1GBのSDカードなど1000円以下で売ってます。HDDは部品が多いため最低コストが高いのです。その点SDカードはうん百円で売ってるので最低コストは低そうです)
それでは今から4年後の2012年にはSSDがPC用HDDを置き換えているかどうかを考えてみます。SSDは1年で2倍とすると4年後は容量は16倍、同じ容量なら価格は1/16。今16GBの最安SDカードが1万円くらいなので、4年後128GBのSDカードが5000円くらいかな。ここまでくると、本格的にHDDからSSDへの移行が始まりそうです。
すでに企業向けデスクトップPCは3.5インチHDDから2.5インチへ、ノートPCは2.5インチから1.8インチHDDへ移行が始まってますから、時間の問題です。
そういえばシンクライアントなんかありますが、据え置きPCであれば利便性はともかく性能は十分ですね。そうなるとますますPC用HDDは需要がなくなる・・・。余談ですがとある会社の外勤のノートPCでシンクライアントを使わされてる人をみましたが可哀想すぎです(さすがにユーザデータだけがサーバ保管でOSはローカルHDD内ですが悲惨です。)
【個人向けPC】
個人向けPCはちょっと違いますね。ビジネスPCと同じようにメールやWordしか利用しかしないのであれば結論はビジネスPCと一緒。それだけではなく、今は動画も個人で簡単に取れるようになりPCでの保存・加工も簡単になってきてて、HD画質も一般的になりつつあるから容量増加はしていくでしょう。実際私ごとですが、個人でHD動画をやり始めてから撮ったり編集していると100GBくらい平気で使ってしまい、あわてていらないファイルを消したりしています。
そのためいくらでも容量が欲しい。1TBのSATAが欲しいけどコストパフォーマンス考えたら500GBx2か。でも壊れたとき1TBのバックアップなんてできない。じゃあRAID1か。でもRAID1はもったいない。どうせならスピード優先でRAID0にしたい。それ以前にそもそも個人でRAIDは必要なのか?? と思考が堂々巡りして結局現状維持。
仕事ではお客様に、「RAID60が今のトレンドです」とか、「耐障害性考えると5本づつRAID組んだ方が良いですね」とか、「ランダムアクセスは15krpmが基本でしょ」とか、「ただシーケンシャルアクセス速度はディスクの回転数はあまり関係なくてディスク本数。だからSATAで15本ストライプでOK」とか言ったり言わなかったり・・・。
ただしこのように大量のディスクを消費することって個人の一般的な利用で多数を占めるのでしょうか?少なくとも家庭用PCでは搭載HDD容量は増加傾向のようですので、必要とされているのでしょうね。
HDD搭載ビデオデッキの場合は、撮り溜めることができるので需要はありますよね。実際どんどんカタログ容量だけは増えていってます。今となっては圧縮率がよくないMPEG2などを使って保存しているため、容量がすぐにいっぱいになります。
MP3プレイヤー、携帯電話、デジタル家電の普及でPCの市場牽引力の低下がとまりません。その場合3.5インチ市場は縮小均衡になってしまう兆候がでてきました。最近ではIAサーバにも2.5インチ内蔵ディスクが普通になり、サーバ用外付けストレージも2.5インチが出始めてきました。
3.5インチディスクがなくなるのも時間の問題ですね。
【NAND、HDD、次世代DVD関連カテゴリ】
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